レオン爺さんの居酒屋

(2)「道(ラ・ストラーダ)」

 冬季オリンピックの花はやはり銀盤上に華やかに咲くフィギアスケートだ。そのフィギアスケートで最も注目されたのは金メダルを取ったリクリューペアだったが、わたしとしては銅メダルをもらった中井亜美さんの演技が心に残っている。彼女の選んだテーマ曲が、映画「道 ラ・ストラーダ」の主題曲「道のテーマ」だった。この主題曲は日本ではヒロインの名前から「ジェルソミナ」として、何人かの歌手が日本語で歌っている。亜美さんのコスチュームも映画の中のジェルソミナがピエロを演じた時に着た衣装のオマージュで、亜美さんの容姿、人柄と曲、衣装がぴったりとマッチして、演技を盛り立てていた。

 セブンティーンという大人の入り口に立っている少女に「可愛い、可愛い」と連発するのはいささか失礼な気もするのだが、その17歳という年齢相応の愛らしさに素人のわたしは感心している。映画の方のヒロインジェルソミナを演じたジュリエッタ・マッシーナのように、純粋無垢で可憐な女性でありながら深い悲しみを漂わせるという演技は、年齢が年齢だけに臨むべくもなかったが、ジェルソミナの時折見せる、本当に純真な天使のような所作や微笑みはしっかりと演技に取り入れられていたのではないかと思う。

 映画「道」の中でサーカスの綱渡り芸人がジェルソミナに「こんな石ころだって何かの役に立っている。何の役に立っているのかわからないけど、何かの役に立っているんだ」と諭す台詞が出てくる。この台詞こそがフェデリコ・フェリーニ監督の一番伝えたかったことではないかと、今でもわたしはそう思っている。ジェルソミナを見捨てたはずの大道芸人(アンソニー・クイン)がジェルソミナの死を知って号泣するシーンが、そのことを物語っていた。今回の冬季オリンピックに出場したものの、決して満足のいく成績を残せなかったアスリートたちも腐ることなく、自分の青春の一頁を大切にしながら、必ず誰かのためになることを自覚しながら、これからの人生を歩いてもらいたいものだ。

 ともあれ今回のオリンピック、「道」とジェルソミナが大好きなわたしとしては、中井亜美さんの演技と可愛らしさが最大の感動で大満足だった。

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