管見耄言ー21.

財源は事業見直しと支出への優先順位

 減税政策論が出ると必ず与野党共に財源論を持ち出してくる。財源をどうするという話は一見そうかなと思わせるようだ。しかし、わたしは少し違うと思っている。国の財政もわたし達の家計も同じで、収入に合わせて暮らすしかないはずだ。新しい事業を始めるというのなら、その財源はどうするというのは当然だろうが、収入が減るという事態の場合は財源をどうするではなく、どれか別の事業や支出をやめようという話になってもいいはずではないか。国防費を始めとするタガの外れた予算設定、族議員や業界からの要求、金はいくらあっても足らないというのは、結局、国民の金を自分の立場を守るためにばらまこうということではないか。

 少なくとも旧民主党で行っていた事業評価は、無駄を減らして新たな支出に備えるというものであった。ならば、無駄を減らして、その分減税しようとなってもいいはずだ。本来、税とは公共事業や行政サービスへの対価である。重税感があるということは払う対価よりも受ける恩恵の方が少ないからではないのか。権力側が必要なだけの税率を一方的に決めるのは、封建時代や独裁、専制下の国の話ではないのか。55年体制成立以降、この国は増税増税また増税で、臨時だ期限付きだといって導入した税ですら、恒久化して上乗せし続けてきた。

 石破首相も「減税策を選択肢から外しているわけではない」と答弁して観測気球を上げていたが、結局、世論の重税へのハレーションは大したことはないと高を括ったようだ。自民党政権はお金持ち二世三世の世襲議員か霞が関出身が大半だ。いるだけ集めるという政治を踏襲して「パンを食べられないのならお菓子を食べればいい」式のピントハズレの「お接待」施策くらいしか思い浮かべられないようだ。

 消費税は税の直接、間接のバランスということではあるが、どうしても低所得者に重くなる。それを一定程度軽減するには「ベイシック・バスケット」方式による軽減税率を導入すべきであると、わたしは常々言ってきた。しかし、与野党ともに耳を貸す議員はいなかった。ベイシック・バスケットのバスケットとはスーパーの籠のことで、ベイシックとは最初にその買い物籠に入れる商品、つまり生活必需品のことである。

 生鮮食料品、米などの加工されていない主食、塩、砂糖、食用油、味噌、醤油などを非課税もしくは軽減税率にする。この考え方を取り入れている国々では食料品以外では、医薬品、学用品などにも非課税か軽減税率としている。

 一度かけた税は何が何でも止めないというのは、洋の東西を問わず税務官僚たちの性ではあるが、それをコントロールするのが政治であり、政治家であるはずだ。日本の場合、与党政治家は税務署のお先棒を担ぐばかりであるし、立憲民主党の野田党首に至っては民主党時代から減税を否定してきた。ここにきて唐突に減税と言い出したところで、一度政権を投げ出した男の言うことを信じる国民は少ない。

 結局、わたしたち有権者が政治家と政党を評価できる唯一の機会である選挙で意思表示するしかない。だからわたしは「早く来い来い参議員選」と思っているのである。

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