詩集「八月の青い空」空蝉

空蝉

ぱっくりと割れた背中のまんま

抜け殻たちが

赤レンガのステーションから

間歇泉のように噴出してくる

アルマーニであろうと

ベルサーチであろうと

ぱっくりと開いた背中の隙間は隠せない

いや、隠す心さえ、消えうせた抜け殻が

煙霧を通して差し込む朝日の中

胎内はとっくに虚と化した巨木が

墓碑のように林立する中

こつこつと足並みをそろえて行進してくる

僕はといえば

慌ててショーウインドウに背中を

映しながら、立ち尽くす

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