プロローグ
巡り巡って故郷に帰ってきた。湯けむりと硫黄の匂い、屏風のような山々に囲まれてこの町で育ち、18歳で上京し24歳で地球の裏側に渡り、夢のような日々を送った。1995年に帰国して、それから28年大分市で大分市民のために働いた。少なくともそのつもりだった。長くもない人生の果て、元のように無一文ではあるけれど、とにかく終の棲家となるであろう故郷に帰ってきた。
子どもの頃から縦横に慣れ親しんできた「国際観光都市」「東洋のナポリ」である。遥か昔を懐かしみながら改めて歩いてみたい。
どんな心象スケッチが描けるか楽しみにしながら、さあて、どこから始めようか。